今回も、前回記事に引き続き、一般的には健康に良しとされていながら、実際には、体に害を及ぼす可能性のある、パラドックス(逆説)食品をご紹介していきます。
なお、本記事は続編となりますので、まだの方はパート1をご一読くださいね。
また、こうした食品に対する対策についてきましては、パート1の記事の最後でお伝えしておりますので、よろしければ、そちらをご参考になさってください。
人体に有害な成分を含む食品
①フォドマップ食
腸活に良いとされている食品を採り入れるよう心掛けているのに、腸内環境子が改善しない、という方は、「高フォドマップ食」を多く摂りすぎているのが原因かもしれません。
フォドマップとは、「FODMAP」のことで、毒性のある物質ではありませんが、小腸で吸収されにくい発酵性の糖質の総称を意味し、以下の頭文字を合わせた言葉です。
F⇒fermentable:発酵性の糖質
O⇒oligosaccharides:オリゴ糖(フルクタン、ガラクトオリゴ糖)
D⇒disaccharides:二糖類(ラクトース)
M⇒monosaccharides:単糖類(フルクトース)
And
P⇒polyols:ポリオール(ソルビトール、キシリトール、マンニトール、グリセロール、イソマルト)
該当する食品には、下記のものが挙げられます。
オリゴ糖:納豆、きな粉、ごぼう、玉ねぎ、エンドウ豆、ニンニク、豆腐、小麦など
二糖類:牛乳、ヨーグルト、アイスクリームなど
単糖類:ハチミツ、フルーツなど
ポリオール:シュガーレス・スナック、プルーン、イチジク、マッシュルームなど
上記に挙げた食品は、一般的には健康に良いとされているものが多いので、普段から食事に取り入れていることがほとんどでしょう。
ところが、高フォドマップ食品は、食べ過ぎることで、腸が過敏になったり、腹部膨満、腹痛、下痢、便秘などを引き起こすことがあります。さらに、吸収されずに長く腸内に留まって発酵し、多量のガスを発生させる原因にもなるのです。
とくに病気ではないのに、慢性的に腹痛、下痢、便秘を経験しがちな過敏性腸症候群の方は、特に高フォドマップの摂り過ぎが原因の可能性があります。
そこで、ご自分の腸と相性の悪い食品を特定するために実践できるのが、これら「高フォドマップ」食品を控えた、低フォドマップ食です。
【低フォドマップ食の実践方法と留意すべきポイント】
低フォドマップ食とは、高フォドマップ食品を完全に食生活から除外するのが目的ではなく、ご自分の腸の不調の原因となっている食品を特定することが目的です。
具体的な実践方法は次のようなものです。
1.高フォドマップ食品を控えた食生活にする
まずは、高フォドマップ食品を食生活から、取り除くようにします。2~4週間ほど続けてみて、体調の変化を観察します。低フォドマップ食品は、米、玄米、肉、魚介類、卵、オリーブオイルなどが主なものです。
これによって、体調に改善が見られたら、次のステップに進みます。変化がない場合は、高フォドマップ食が原因ではないため、低フォドマップ食を続けても効果は見込めないでしょう。
2.除外した食品を復活させる
1で除外した食品を1品ずつ、少量ずつ食事に復活させていきます。復活させても腸に悪影響がなければ、その食品は、相性がOKの高フォドマップ食品と判断できますし、症状が悪化したら、それが相性の悪い高フォドマップ食品だと判断できます。
このプロセスを繰り返していって、除外した食品の中から、相性の悪い食品を特定します。必ずしも高フォドマップ食品の全部を試す必要はなく、自分が好きな食べ物だけを試せばOKです。
3.相性の悪い高フォドマップ食品を除外した食生活に切り替える
ご自分と相性の悪い高フォドマップ食品が特定出来たら、それを除外した食生活に変えます。相性の悪い食品が特定できれば、避けるべきメニューがわかり、腸内環境を健全に保ったままで、食事を楽しむことが出来ます。
例えば、納豆は健康食の代表のような扱いですが、筆者は、体質に合わず、消化不良を起こします。また、天然酵母のサワドウブレッドも、腸が破裂するのではないかというほど、お腹がパンパンに膨らみます。プルーンは食べ過ぎることで緩下作用が凄いですから、判りやすいですよね。
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②灰汁(アク)
身体に健康なお野菜ですが、種類によっては、「アク」が多く含まれています。アクというネーミングが示す通り、これは微量の毒素です。前回の記事でも触れましたが、植物も、虫や動物などの外敵から身を守るために、特に外皮の部分に毒素を蓄えているのです。
マクロビオティックでは、お野菜の栄養を丸ごといただこうということで、全体食を奨め、皮をむかずに調理する方法をとっていますが、そうすると、実際には、野菜に含まれる毒素を摂ることになるのです。
お野菜に含まれる毒ですから、一度に大量に食べなければ生命に危険はないでしょうが、毎日摂り続けることで、体に負担をかけ、病気を引き起こしたり、寿命を縮めることにならないとも限りません。
とはいえ、ほとんどのアクは、水に浸したり、下茹ですることで無毒化できますから、どの野菜に毒素が含まれているかさえ知っていれば、それほど神経質になる必要はありません。
ということで、この項目では、どのような毒素がどのようなお野菜に含まれているかをまとめました。
なお、このリスト以外にも、毒素を含む野菜はあるかもしれません。
毒素摂取のリスクを回避するには、一口食べてみて、えぐみ、苦みがあったら、食べないようにすることです。
●アクや微量の毒を含むお野菜と、含まれる毒素とは?
アクあるいは微量の毒を含むお野菜の主なものに、ホウレン草、ゴボウ、ワラビ・ゼンマイ・タケノコなどの山菜類、ズッキーニ、モロヘイヤ、ジャガイモの芽などが挙げられます。
含まれる毒素には、シュウ酸、チアミナーゼ、サポニン、ソラニン、ククルビタシン、ストロファンチジンがあります。
●アクを含む各野菜とその毒による作用
・ホウレン草
ホウレン草には、シュウ酸が含まれています。シュウ酸にはカルシウムの吸収を阻害する作用があり、尿結石や骨粗しょう症の原因になるとされています。
ホウレン草は、水に十分に浸すか、茹でることで、シュウ酸を軽減できます。
・ジャガイモの芽・緑色の皮
ジャガイモの芽や緑色に変色した皮には、神経に影響を与えるソラニンという毒素が含まれており、吐き気などの食中毒を引き起こしますが、大量に食べると、昏睡状態となり命に危険が及ぶ可能性もあります。
芽は取り除き、変色した皮は厚く剥いて毒を除去します。毒の多いジャガイモは、苦みやえぐみがあるので、一口食べてみて味がおかしかったら、廃棄した方が良いでしょう。
・ゴボウ
ゴボウに含まれるサポニンは、健康に良いと言われている一方で、実は体内に入ることで、細胞膜を傷つけるとも言われています。
皮をむいて、水に浸けてアクを取り除いてから調理しましょう。
・ワラビ・ゼンマイ
ワラビ・ゼンマイには、チアミナーゼとサイカシンが含まれます。チアミナーゼは、神経や筋肉の機能を正常に保つために必要な栄養素であるビタミンB1を分解する作用があります。ビタミンB1不足は、心不全や末梢神経障害を起こす脚気を引き起こす可能性があります。サイカシンは発がん性物質です。
山菜は、生ではとても食べられないほどのえぐみがありますが、これも、毒素が入っていますよ、という自然からのありがたいサインです。シッカリとあく抜きと下処理をしてから調理しましょう。
・ズッキーニ
ズッキーニには、ククルビタシンという毒素が含まれています。ククルビタシンは、ズッキーニだけでなく、他にも、きゅうり、カボチャ、メロン、スイカなどウリ科の植物のヘタに近い部分に少量含まれています。
ククルビタシンは、少量なら、問題にはなりませんが、含有量が多いと、腹痛、下痢、嘔吐、手足のしびれなど、食中毒を起こすことがあります。
一口食べてみて味が苦ければ、廃棄することです。
・モロヘイヤ
モロヘイヤの種子、茎、さやには、ストロファンチジンという毒素が存在しますが、一般的に可食部には存在しないとされています。ストロファンチジンは、めまい、動悸、吐き気、最悪の場合は心不全を引き起こす可能性もあります。
家庭菜園で育てる場合には、種子、茎、さやを食べないように注意しましょう。
・トマト
トマトの茎や葉には、トマチンという毒素が存在します。これは、微量ながら果実にも含まれていて、腹痛を引き起こす可能性がありますが、大量に摂取しない限り、生命に危険は及ばないとされています。
・ナス
ナスの実以外の部分にも、ジャガイモの芽同様に、ソラニンという毒素が含まれます。ナスは、実以外は食べないことです。
・タケノコ
生のタケノコには、タキシフィリンという毒素が含まれ、呼吸困難やめまい等の症状を引き起こします。タキシフィリンは、40分程度加熱することで無毒化できますので、タケノコは必ず過熱しましょう。
・銀杏
銀杏の実には、4-メトキシピリドキシン(4-MPN)という毒素が含まれています。4-MPNはビタミンB6と構造が良く似ているため、多食することで、ビタミンB6欠乏症、痙攣、意識障害などを引き起こすことがあります。まれに、生命に危険が及ぶケースも報告されています。
中毒症状が出る目安ですが、子供で7~150個、大人では40~300個と言われています。体内のビタミンB6含有量や健康状態によって変わってきますが、控えるのに越したことはないですね。
・バラ科植物
桃、杏、ウメ、ビワなどのバラ科の植物の未熟な果実や種子には、アミグダリンという物質が含まれています。アミグダリンは、人間の体内で毒性の強いシアン化水素(青酸)に変わりますので、大量に摂取することで、頭痛、めまい、嘔吐などの中毒症状を起こす危険があります。
アミグダリンは、かつては「ビタミンB17」と呼ばれ、がんの特効薬ともいわれていました。微量の青酸は呼吸中枢を軽度抑制することで、咳や喘息を鎮める効果をもたらすからでしょう。
とはいえ、海外ではアミグダリンの大量摂取による、健康被害事例や死亡事例が報告されています。なにが適量かは判断できませんので、控えた方が賢明です。
③毒を含む花類
バラは、その美しさと芳香から、明らかに、昆虫や動物などの外敵から目を付けられやすいものです。それで、外敵を遠ざける目的で、進化の過程でトゲを全身にまとうことになったのです。
バラには毒は含まれていませんが、同様の理由からか、毒素を含む花もあります。下記が主なものです。
・キク科:キク科、ムラサキ科などの一部の植物には、ピロリジジンアルカロイド類という天然毒素を含むものがあります。キク科アレルギーの人は、この毒素に反応している可能性がありますので、キク科のハーブは控えることです。
・レンゲツツジ
・アジサイの葉
・スズラン:スズランは、植物全体が有毒で、花びんに生けた水も有毒です。中毒症状は、嘔吐、食欲不振、下痢、不整脈など。
結論:大いなるパラドックス
かつては、全体食がもてはやされ、「自然の恵みである野菜と果物は、捨てるところが一つもないはず」と、食べられない野菜の皮をフライにしてみたり、種を炒めてスナックにしたりして、なにがなんでも全部食べられるようにしようというのが流行しました。
これは、一見、食べ物を無駄にしないということで称賛に価すべき行動のようですが、今回の調査によれば、むしろ余計なことで、体に有害物質をせっせと取り込んでいた可能性があります。
また、毒素であるアクを抜くには、水に浸けたりゆでたりすることが必要なわけですが、ビタミンは水溶性で熱に弱いという特徴を持っていますから、アク抜きすることで、お野菜のビタミンの含有量は減ってしまう、というのも、実に皮肉なこと:「パラドックス」に思われます。
毒のあるお野菜も、感謝して食べれば無害になるのでは?と思うかもしれませんが、イメージしてみましょう。
もしあなたが、モンスターに食べられるとして、モンスターが、「ありがとう!あなたを感謝して食べるね!」「感謝して食べるから許してね!」と言ったからといって、ハイ、そうですかと、やすやすとわが身をささげるでしょうか。最後の最後まで命のために抵抗しますよね。その強い意志と生存本能が毒を生成し、モンスターの胃袋で暴れたとしても、不思議はないですしょう。
でも、「人間に食べられてたまるか」という意志は、植物によって明らかに個体差があり、あるフラワーエッセンスのプロデューサーによれば、植物の方から、「どうぞ私をエッセンスにしてください」と話しかけてきた植物もあるとのことです。我が身を捧げても人間の役に立ちたい、という慈愛に満ちた植物もある、と云ことです。
By Athena